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2004年10月06日
奈良県獣医師会傷病野生鳥獣救護制度について(5)
4. 傷病鳥獣を見つけたら
「浦島太郎」や「鶴の恩返し」のように野生動物の命を助けるお話は日本に数多く存在します。傷つき、衰弱した野生動物に出会ったとき助けなければと多くの人が思うのは、人間の人間たるゆえんなのかもしれません。しかし傷ついた野生動物をどのように扱い、どうすればいいのでしょうか?
- 傷病鳥獣取り扱いの原則
まず知っておかなければならないことは、「野生動物は人に触られたことがない」ということです。
意識のないもの、幼獣、幼鳥以外は必死で逃げようとするのが普通です。深追いすると、車にはねられたりショック死したり、とんでもない結果を招くことがあります。さらに動かないからといって素手で触るなどして捕まえようとすると、ご自身が怪我をすることになりかねません。大変注意が必要です。こういったことを踏まえて、これからの説明をよく読んで参考にして下さい。 - 発見時の処置
1)救護が必要かどうか
(1) 危険の回避
動物が猫に襲われているなど、車道に動物が出ている場合は躊躇せずに助ける必要があるでしょう。まず危険を回避させて、救護する必要があるかどうか判断する必要があります。避難させた動物が一時的ショック状態で動けなくなっている場合や脳しんとうで一時的に気を失っている場合は、しばらくすると元気を回復して無事に復帰することがあります。危険を避けたら少し様子を見るということも必要です。
救護施設に来る動物の内、かなりの数がこのケースを占めています。
しかし回復可能な状態かどうかという判断は難しいので、しばらく様子を見て変わらなければ、森林保全課か■奈良県獣医師会■奈良県傷病野生鳥獣救護獣医師を尋ねてください。(2) 外傷の判断
出血したりあきらかに骨折している場合は、救護の対象になります。しかし、現在止まっているような出血や、運動に支障のない程度の外傷であれば問題はありません。
簡単な止血処置で止まりそうな場合は、捕獲処置後速やかに、捕まえたその場所で放すべきです。注意しなければいけないのは猫に咬まれるなどの咬み傷です。咬み傷では表面は軽く見えても深い場合が多く、内臓などが傷ついていて、その場は元気でもあとで突然亡くなってしまうことがあります。咬み傷の場合は獣医師に相談しましょう。
骨折も基本的に救護するべきでしょう。しかし運動、採食に差し支えなければ、その必要はありません。この判断は難しいので獣医師に相談したほうがよいでしょう。(3) 病気の判断
怪我の判断とは違って、外観だけで病気の程度を把握するのはきわめて困難です。
野生動物が弱みを見せることは、直接死につながるので、どのような状況でも人の手から逃れようとするためです。(4) 誤認救護 (ヒナを拾わないで!)
もっとも厄介な問題は誤認救護、いわゆる誘拐です。すなわち救護の必要のない若い動物を親の元から連れてきてしまうことです。繁殖シーズンの5月から8月頃に多くなります。
実際救護しても、野生で生きていくことが可能な動物に人間が育てることは不可能に近いので、ひどい外傷を受けているか、ひどく衰弱しているかの場合を除いて極力放置しておくべきです。具体的な例として、タヌキが挙げられます。市街地に出てくるタヌキのほとんどが側溝を移動するので、子供を側溝に置いて親が餌を取りに行くと言われています。その間に残された子供を人間が迷子と認識してしまって、救護してしまう場合です。一方、鳥ではスズメやツバメ、ヒヨドリ、ムクドリなどの巣立ちヒナの誤認救護が最も多く見られます。巣立ちしたらすぐにしっかり飛べると思っている方が多く、そのため道路や低い枝にいるうまく飛べない小鳥を全員迷子として救護してしまうパターンが最も多いと思われます。そういう場合の具体的な対処法を挙げておきます。【巣立ち前のヒナが誤って巣から落ちていた場合】
巣からヒナが落ちていた場合は決して家に持ち帰らずに、元の巣に必ず戻すように しましょう。
特に羽毛が十分に生えていないヒナは持ち帰っても、ほとんど育てることはできません。【巣立ちに失敗して巣から落ちていた場合】
元の巣か近い木にとまらせてください。
【巣立ち後、枝移り等移動中に落ちていた場合】
巣立ちビナの場合、うまく飛べないからという理由でヒナを保護されることがあります。
このような場合はたいてい近くに親鳥がいて、ヒナのところに来ては餌を与えている場合が多いのです。
発見場所に一番近い木の枝に止まらせるか、草むらか木 陰に置いてあげてください。しかしどうしても飛べないとき、移動できないとき(骨折 していたり、大変弱っている場合)だけ保護してください。
いずれの場合にも親鳥の存在を脅かさないように十分な距離をとって見守り、親鳥との接触を見届けるとともに、イヌかネコなどの外敵や人に十分注意してください。
- 2) 捕獲の心得
(1) 野生動物
繰り返しになりますが、まず捕獲する動物が野生動物であることを認識していなくてはなりません。
野生動物であることは、人に馴れていないということです。
彼らにとって捕まることは死ぬことを意味するので、弱っているようでも必死に抵抗します。
横たわって全く抵抗できないように見える動物は、素手で捕まえることができるように見えます。
しかしとんでもない目に遭うことがあるので、つつかれるくらいで済むような小鳥を除き、棒でつつくなり、反応を見てから、捕まえましょう。(2) 消毒
もし、あなたが動物を助ける際に咬まれたり、傷を受けてしまったら、ホントに軽傷な場合を除いて、きっちり消毒をした方がいいでしょう。消毒をすれば大丈夫なことがほとんどですが、あまり軽く見ない方がいいこともあります。
心配ならば、人間用の病院に行ってください。 - 3) 捕獲法
(1) 鳥類
捕獲の基本は鳥に限りませんが、体力の消耗、外傷をひどくしないためにもなるべく暴れさせずに捕まえることです。ほとんどが手で捕まえることができますが、大型の鳥を除いて、タモ網を使って素早く捕まえるのがいいでしょう。
野外ではほうきや木の枝を利用して捕まえるか、段ボール箱に誘導して入れてしまうのがおすすめです。
次のような鳥は捕獲の際に注意してください。i) フクロウや鷹などの猛禽類
咬まれると大変痛いのですが、注意しないといけないのはクチバシよりあの鋭い爪です。
獲物を捕まえて離さない鋭い強力な爪ですから、捕まれたら、他の人に手伝ってもらって、ペンチなどを使用しなければ外せなくなります。
猛禽類の爪は非常に危険です。具体的な捕獲方法は、タモ網もしくは厚めのタオルか布で体全体をかぶせ、その上から背中を探り押しつけ、足、翼、頭が動かないよう体全体を包み込み抱きかかえます。ii) コサギやゴイサギなどのサギの仲間
こちらも注意した方がよいでしょう。
猛禽類のような鋭い爪はありませんが、長いクチバシで眼をめがけて突いてくるので、大変危険です。
首の長さが大変長く、縮めたときの差が思ったよりも大きいため、油断すると射程圏内に入ってしまいます。
眼に当たらなくても顔を突き刺すこともあります。捕まえる際には首をしっかりつかんでおくことが大切でしょう。(2) ほ乳類
まず捕まえるという行動を起こす前に、危険ではないか、捕まえる必要があるのかどうかを考えてみてください。
手当てしたいのは当然ですが、捕まえたことによって死んでしまっては意味がありませんし、あなたが怪我をしても困ってしまいます。傷ついた動物を見つけたら状態をよく見て対応をしてください。考えられる3つの具体的な例を挙げておきます。
i) 傷はあるが元気そうで捕獲できそうにないとき
(この場合はそのままにしておいてください。)ii) 元気がなくうずくまったままか、動いてもすぐうずくまってしまう
(この場合は下記の方法で捕まえ、森林保全課もしくは最寄りの傷病野生鳥獣救護獣医師に連絡してください。)iii) 幼獣の場合
幼獣は脅かさない限り、ついてきたりして可愛いものですが、連れて帰ったりしては絶対だめです。
明らかな外傷など特別のことがない限り、ついてこられないように、その場所を離れてください。
そばに親がいるのがほとんどです。ひどい怪我の場合は森林保全課か傷病野生鳥獣救護獣医師に連絡してください。さて、暴れさせないで捕まえるのは鳥と同様ですが、ほ乳類は野ウサギや赤ちゃんを除いて、弱っていない限り道具を使う方が安全です。大型動物を除いてタモ網を使うのが一番よいでしょう。
野外ではホウキや木の枝、段ボール箱が比較的手に入りやすく、よいでしょう。タヌキと間違えやすいアナグマは、比較にならないほど力が強いので素手に押さえるのはほとんど不可能です。
無理に押さえつければ、逆にアナグマを殺してしまいかねません。そのため捕獲網などが手に入らなければ、衣装ケースなどのプラスチックの箱などに追い込むのが安全です。ここで気をつけないといけないことはプラスチックの箱は密閉性が高いので空気穴を空けないと短時間でも危険です。ふたに網を使うなど工夫が必要です。クマや鹿などの大型のほ乳類は森林保全課に連絡しましょう。
奈良県農林部 森林保全課 鳥獣緑化保護係
TEL:0742-22-1101(内線4013)
投稿者 naravma : 2004年10月06日 17:33
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